「健康経営」とはどんな経営?
経済産業省は、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する「健康経営」を推奨しています。これは、従業員の健康をサポートすることで、離職や休職などによる労働力の損失を防ぎ、生産性を向上させるという考え方です。労働者が生き生きと働ける職場には、優秀な人材も集まりやすく社会的な企業イメージも向上するため、現代では、健康への取り組みは経営戦略のひとつでもあります。労働者の健康に投資することは、リスクマネジメントであると同時に、後々の企業の成長へとつながります。
こんなことがあったら始めどき。「健康経営」に力を入れるタイミング
雇用者側は、常に労働者の様子に気を配っていることと思いますが、「最近、従業員が疲れていて活気がない」「病欠が多い」「若い世代の従業員がいない」などの兆候があったら、注意が必要かもしれません。
「社員が疲れている」「病欠が多い」などは、すぐに健康問題を思い浮かべやすい変化ですが、「若い世代の従業員がいない」というのはどういうことでしょうか。仕事の選択肢が豊富、かつ、まだ給料なども安くなりがちな若い世代は、労働環境が悪いとすぐに辞めてしまう可能性が高いでしょう。仕事量の多さや残業の多さ、慢性的な人手不足によるコミュニケーションの悪化などには敏感に反応し、離職してしまいがちです。つまり、若い世代が居付かないということは、どこか労働環境や待遇面に問題があるのかもしれません。従業員の健康推進を、将来の収益向上につながる前向きな投資と考えるなら、早めに手を打つことをおすすめします。
「健康経営」はコストをかけない小さなことから実践できる
「健康経営」を始めるというと、大掛かりな改革が必要なようにも思えますが、コストをかけずに行えることもたくさんあります。たとえば、ストレス・メンタルヘルスに関する正しい知識、睡眠とアルコールに関する正しい知識を伝えることや、階段の使用の推進などは、大掛かりな整備投資や機材の導入などをする必要もなく実施できます。また、ノー残業デーの実施や、有給取得の推進なども、会社全体の目標として取り組んでいけるでしょう。他にも、新型コロナウイルスの感染拡大で特に注目度が高い、職場の感染対策や、インフルエンザの予防接種の費用負担なども効果的な健康サポートとして挙げられます。
これからの時代、従業員の健康は“従業員個人の問題”ではありません。事業者側がさまざまなサポートを通して、従業員と一緒に守るべきものへと変わってきています。この変化を取り入れた「健康経営」のために、将来の事業の活力のために、少ないコストからでも投資を始めることをおすすめします。